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2011年10月28日

琉球弧叢書26 琉球王国史の探求



 高良倉吉著 
 琉球史をめぐる様々な議論は、近年益々多様化し、地理的時間的空間を拡大し、深化してきた。琉球王国史をその内側でのみ語ることはもはや許されていないし、そういった新しい研究視点を積極的に導入し、復帰後の琉球史研究を先導してきた著者が、これまでの三点の研究領域の成果をまとめたのが本書である。
 第一には著者が深く関わった首里城復元に関する研究、第二にライフワークである辞令書の研究、第三に琉球王国の内部構造の実態の探求であり、本書ではそれらの個々の研究を通して著者自身の歴史への立脚点が明らかにされていく。
 歴史家高良倉吉によれば、本書で語られているのは東アジア海域世界のなかの琉球王国という視座から前近代史を素材とする国際関係論や多地域間ネットワーク論、あるいは近代国民国家の呪縛を相対化したいとの思念に立つ一種の歴史ダイナミズム論のテーブル上に琉球王国という態様を載せて論じた複雑系としての琉球史像なのである。

〈目次(抄)〉
 
第1部 古琉球を考える

◆1 グスク論を検討するための若干の前提
◆2 琉球王国成立期の首里城に関する覚書
◆3 奄美喜界島の古琉球辞令書
◆4 古琉球期の奄美における給田の移動
◆5 奄美古志辞令書の分析
◆6 今帰仁間切に関する辞令書
◆7 今帰仁掟および北谷掟宛の古琉球辞令書
◆8 「羽地仕置」に関する若干の断章

第2部 近世琉球を考える

◆9 『羽地仕置』に見る首里城の覚書
◆10 首里城正殿の大庫理御差床高欄の復元をめぐる問題点
◆11 首里城正殿の大龍柱の向きについての覚書
◆12 夫地頭制と銘苅大屋子の特質
◆13 伊是名玉御殿西室の被葬者の検討
◆14 多良間島に見る近世琉球の地船海運の実態
◆15 近世八重山の唐通事に関する事例
◆16 近世末近代初頭の琉球における模合請取証文

   A5、上製、296頁
   定価(本体4,800円+税)  

Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 16:28Comments(1)琉球弧叢書