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2023年12月28日

弊社刊 茂木仁史・古波蔵ひろみ著『首里城の舞台と踊衣裳』令和五年度本田安次賞受賞

共著者のうちの一人、茂木仁史先生が令和五年度本田安次賞を受賞いたしました。
一連の研究から首里城の舞台と芸能の関係等を明らかにし、それを評価され受賞いたしました。

授賞内容:
 著書『首里城の舞台と踊衣装』
       (榕樹書林(「踊衣装」の章は古波蔵ひろみ著)、2023年2月)
 及び、 
 論文「首里城の「御城舞台」と「火花」」
        (『藝能』第29号、2023年3月



沖縄タイムス掲載2023.12.28、琉球新報掲載2023.12.27

民俗芸能学会HP
https://www.minzokugeino.com/

弊社ネットショップ
https://gajumarubook.jp/?mode=srh&cid=&keyword=%CC%D0%CC%DA%BF%CE%BB%CB  

Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 19:02Comments(0)琉球弧叢書

2023年05月12日


2023年03月22日


2023年03月01日

只今発売中!! 琉球弧叢書№37 『首里城の舞台と踊衣裳』



 茂木仁史・古波蔵ひろみ著/国立劇場おきなわ監修

 本書は「御城舞台の研究」と「踊衣裳と結髪の研究」という二つの論文を収録している。いずれも、琉球国時代の組踊や琉球舞踊の姿を明らかにしようとする試みである。
 「御城舞台」とは、琉球国王一世一代の「冊封」に際して首里城の御庭に作られた特設舞台のことである。一七一九年に初めて記録上に現われ、最後の琉球王・尚泰の冊封が行われた一八六六年まで、わずか五回しか姿を見せなかった幻の舞台である。その一五〇年ほどの間にも、芸能の変化に合わせて御城舞台も姿を変えるが、舞台と楽屋を橋掛りでつなぐという能舞台にも似た特殊な形は堅守された。この基本構造は琉球国の芸能の本質と通じ、変化した部分は琉球芸能の現在につながっている。
 琉球芸能の「踊衣裳」といえば紅型衣裳に代表されるが、琉球国時代には異なる伝承があった。若衆の凛とした佇まいと色気を際立たせる「板締縮緬若衆衣裳」と、大人の女性の優美な気品を示す「琉縫薄衣裳」である。しかし、当時の衣裳はほとんど伝世されず、技術も廃れたことから幻の衣裳となっていた。本書ではこれまでの研究も踏まえつつ、琉球国の踊衣裳を具体的に示すよう目指したものである。また、結髪や髪飾りなどは近現代に変化したものもあるため、衣裳と一体になって装いを構成するものとして研究対象とした。
 琉球国時代の芸能の実態については、明らかにされていないことも多い。今後の研究や公演に本書が寄与することを願うものである。(茂木仁史)

   A5判、上製、296頁
   定価(本体3,600円+税)

〈目次〉

Ⅰ 御城舞台の研究

  はじめに
  序章 芸能と舞台

第一部「御城舞台」の図像研究
第一章 一七一九年の御城舞台
第二章 一八三八年の御城舞台
第三章 一八六六年の御城舞台

第二部「御城舞台」の諸相
第四章 一八三八年の稽古と稽古場
第五章 躍が上演された場所
第六章 御膳進上と諸行事
第七章 舞台飾りと道具
第八章 観客と観客席
第九章 御城舞台の形状と寸法

おわりに

Ⅱ 踊衣裳と結髪の研究
  
はじめに
第一部踊衣裳の研究
第一章老人踊
第二章若衆踊
第三章女踊

第二部結髪の研究
第四章欹髻―老人・成人男子の髪型
第五章丸結の研究
第六章垂髪とかつら髪
  
  おわりに

*著者紹介*

茂木仁史
 沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学研究科(博士後期課程)修了、芸術学博士
 国立劇場おきなわ調査養成課課長
 沖縄県立芸術大学芸術文化研究所 共同研究員

古波蔵ひろみ
 琉球大学大学院人文社会科学研究科(博士後期課程)修了、学術博士
 沖縄県立芸術大学芸術文化研究所共同研究員  

Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 18:36Comments(0)琉球弧叢書

2023年01月11日

只今、発売中!! 琉球弧叢書36 組踊の歴史と研究


 鈴木耕太著(沖縄県立芸術大学准教授)
 本書は組踊研究の若手第一人者として活躍する鈴木耕太氏による組踊研究の新しい枠組みと視座をもとにした注目すべき論稿から成り立っている。
 組踊は中国皇帝の使者冊封使を迎え、歓待する為に、玉城朝薫によって日本の能や歌舞浄瑠璃、更には中国演劇などからも着想を取り入れて作られ、1719年、冊封使徐葆光(じょほうこう)を迎えて初演されたのを契機とし、国家儀礼の一環として発展してきた。琉球処分によって組踊を担ってきた上級士族が地方に分散することによって全琉球文化圏へと拡散し、庶民の芸能となり多くの人々に親しまれている。
 本書ではその歴史を詳細に調べ上げると共に、上演台本の校合によって組踊の伝播と演出の変化等を明らかにする。
 組踊研究が日本の芸能史研究あるいは中国芸能の琉球への導入等を踏まえ、その特質を捉え直し、これからの研究の礎石となるであろう。

   A5判、上製、422頁
   定価(5,800円+税)

〈目次〉(抄)

序にかえて― 組踊のいま

第一章 組踊の誕生―玉城朝薫と組踊創作の背景―
   第一節 組踊の作者:玉城朝薫と尚敬王
   第二節 「組踊誕生」試論

第二章 組踊の歴史―上演および研究の歴史
   第一節 近世琉球期(組踊誕生から琉球処分まで)
   第二節 明治・大正・昭和初期(1879年~1945年)
   第三節 戦後~復帰まで(1945年~1972年)
   第四節 組踊研究史

第三章 組踊本の校合と研究
   第一節 尚家本組踊集の校合と結果―「執心鐘入」を中心に
   第二節 常套句(じょうとうく)の使用について考える―「拝み留やへて」論
   第三節 組踊と「季節」
   第四節 組踊における役名について
   第五節 近世における組踊をめぐって
   ―上演作品・舞台・小道具、そして近代への伝承
   第六節 沖永良部島と組踊―道の島と琉球の文化伝承に関する一考察

第四章 資料編
   一 組踊校訂本の試み―「執心鐘入」を題材として
   二 組踊異表題一覧
   三 組踊関係年表《抄》(近代沖縄~復帰編)

おわりに

*著者略歴*
鈴木 耕太(すずき こうた)
沖縄県読谷村に生まれる。
沖縄国際大学国文科卒業、琉球大学大学院(修士)
沖縄県立芸術大学後期博士課程修了、芸術学博士
2016年より沖縄県立芸術大学芸術文化研究所に勤務
共著に『沖縄芸能のダイナミズム』『琉球・沖縄芸能史年表』がある。  

Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 18:16Comments(0)琉球弧叢書

2021年10月29日

本日発売!! 琉球弧叢書35 琉球沖縄仏教史


 知名定寛(神戸女子大学教授)著
 琉球沖縄の宗教を語る時、往々にして民俗宗教の側面のみが取り上げられ、その仏教的側面は無視あるいは軽視されてきたことは否めない事実である。それゆえに仏教史を正面から取り上げた本は少なく、通史としては名幸芳章の『沖縄彿教史』のみであった。
 本書の著者知名定寛教授は1994年に『沖縄宗教史の研究』、2008年には『琉球仏教史の研究』を上梓し、仏教史研究を琉球沖縄史研究の重要なファクターに押し上げ琉球史に彩りを与えることとなった。今まで埋もれていたままになっていた史料を再発掘し、又、全く新しい史料を発見・提供し、更に民俗宗教の装いの中に隠れている仏教の影に照明をあて、様々な民衆の芸能や行事の再検討を促してきた。それらを通して一般に思われているよりはるかに広く深く仏教が沖縄社会の中に入り込んでいることを論証してきた。
 本書はそれらの研究を踏まえ、琉球沖縄の仏教を通史的に概観してみようという試みである。そのことによって仏教の沖縄社会の中の位置を明らかにすると共に、何ゆえに又、傍流に追いやられることになったのかも浮かび上がらせることになるだろう。そして戦後における仏教再興の基礎を見いだすことになるだろう。
 本書は仏教史を琉球沖縄史の中に確固として位置づけ、琉球沖縄史像の新しい一章を切り開くものと確信する。

   A5判、上製、270頁
   定価(本体4,500円+税)

〈目次〉

~古琉球篇~

まえがき

第一章 仏教の伝来と浦添
   一 場所と時期
       仏教伝来と英祖王/極楽寺への参詣路/極楽寺の創建時期/残された謎
   二 尚巴志王と仏教
       仏教興隆前史/外交文書と報恩寺/
       尚巴志王時代に一〇ヶ寺/王国経営の官僧・官寺
   三 浦添ようどれの石厨子
       浦添ようどれの調査/石厨子と浄土教信仰/
       地蔵信仰もセットに/石厨子の製造時期

第二章 第一尚王家と仏教
   一 梵鐘が語る仏教事情
       数多くの梵鐘/梵鐘が語る歴史/梵鐘鋳造師
   二 仏教興隆の背景
       対日交易と禅僧/外交僧芥隠の登場/
       禅僧のネットワーク/環東シナ海仏教文化圏と中山国
   三 尚巴志王の仏教信仰
       禅宗と浄土教信仰/血で血を洗う統一/尚巴志王の仏教信仰
   四 尚泰久王の仏教事業と信仰
       尚泰久王の仏教事業/天界寺の創建/尚泰久王の即位と戦乱/
       棚から牡丹餅の裏事情/尚泰久王の負い目/施餓鬼・亡霊・鎮魂
   五 天界寺の完成と尚徳王
       天界寺の不思議/未完成の天界寺/万全な建立準備/
       天界寺創建と護佐丸・阿麻和利の乱/万国津梁の鐘は天界寺の梵鐘か/
       尚徳王の大蔵経求請/大蔵経への期待
   六 第一尚王家の滅亡と仏教
       不自然な尚徳王の死/尚徳王・金丸・芥隠/梵鐘銘文作者渓隠安潜

第三章 第二尚王家と仏教王国
   一 尚円王と芥隠
       尚円王の仏教事業/天王寺は誰の創建か/崇元寺は誰の創建か/
       龍福寺・芥隠・鎮魂/安国寺は誰の創建か/第二尚王家最初の創建寺院

   二 尚真王の仏教事業
       尚真王即位の立役者/中央集権化政策と仏教/仏教の社会的普及
       仏教王国の出現/王権儀礼と仏教

   三 僧侶と社会
       僧侶の数/遍歴修行/鶴翁の見た琉球仏教/智行兼備の菊隠と天叟/
       名僧は輩出せず/首里・那覇と地方の落差/民衆救済の欠如

第四章 真言宗と浄土宗の進出
   一 日秀の民衆救済と護国寺
       日秀の民衆救済/真言宗の伝播と護国寺/護国寺の発展/
       大安寺と護国寺/熊野権現信仰の伝播

   二 袋中の庶民教化と念仏
       袋中と念仏/念仏とは/誤解された念仏/袋中の教え

第五章 古琉球王国の終焉と薩摩の仏教政策
   一 薩摩の侵略と仏教界
       対外交易事情の変化/薩摩との関係/薩摩の侵略と仏教界の苦難
   
   二 仏教の受難
       六〇年前の仏教風景/寺院の焼き討ち/菊隠の三司官就任

   三 薩摩の仏教政策
       「掟一五ヶ条」/仏教復興への動き/
       一向宗の禁制と説法の禁止/修行地の制限

~近世・近代編~

第一章 向象賢の王国再建と仏教
   一 向象賢の仏教政策
       儒教思想の導入と真言宗/寺院知行高の削減/政治的影響力の遮断

   二 向象賢と真言宗との関係
       真言宗寺院の数/禅宗寺院を真言宗に改宗/
       万寿寺の改宗/神応寺と聖現寺の改宗

   三 向象賢路線への反動
       向象賢の想い/向象賢以後の寺院修復/仏教保護の復活

第二章 近世二宗体制の成立
   一 仏教から儒教への転換
       勧進・托鉢の禁止/仏教界の抵抗/王府の仏教政策/
       先王祭祀改編と寺院/儒教の台頭

   二 蔡温の仏教政策
       蔡温の仏教認識/蔡温の仏教政策/禅宗と真言宗の役割固定化/
       隠居僧の待遇改定/地方からの出家禁止/僧侶の身分/修業年限の制定

第三章 僧侶の公務と日常のお勤め
   一 護国奉仕の勤行
       官僧のお勤め/怪異現象の祈祷/内憂外患の祈祷

   二 公務以外のお勤め
       禅僧の場合/洗骨と仏教/士族子弟の教育係/
       真言僧の場合/多忙な真言僧

   三 「近世仏教堕落論」の見直し
       先行研究の近世仏教評価/僧侶と囲碁/寺院庭園での花見
       僧侶の社会的信頼/龍洞寺住職心海の就職斡旋/
       近世仏教の評価見直し/伊波普猷の根拠(提示史料)

第四章 庶民と仏教
   一 葬儀と庶民仏教の展開
       庶民の葬制と仏教/仏式葬具の地方普及/
       龕の地方普及/ニンブチャーと葬儀

   二 弥勒信仰の琉球的展開
       ミルクと弥勒信仰/「おもろ」に謡われたみるく/
       寺院安置の弥勒/禅宗の弥勒信仰と布袋/ミルク信仰と福神信仰

   三 エイサーと盂蘭盆芸能
       エイサーの変化/エイサーの呼称は「念仏」/ミルクウンケーも念仏/
       念仏の規制/古琉球時代の念仏/念仏の禁止/念仏と儒教/
       家々巡廻/禁止も何のその/座間味島阿佐の念仏/
       エイサーの成立/風俗改良運動の影響

   四 浄土真宗の救いと法難
       禁止された宗旨/琉球最初の信者/別ルートの中山国尼講/布教の実態/
       信心の内実/第一次法難事件/知念らの本山参詣/第二次法難事件/
       王府の対応と外患/第三次法難事件と「琉球処分」/布教活動と探索/
       拘引開始と処罰/東本願寺と琉球藩庁の交渉/尚泰王を提訴/
       木梨精一郎の策略/処罰撤回・真宗解禁・「琉球処分」

第五章 明治以降の仏教展開
   一 王国崩壊後の二宗
       尚泰王の時代/禅・真言二宗体制の消滅/寺院の廃絶/廃絶の原因
   二 新仏教の進出
       二宗に対する田原法水の叱咤激励/浄土真宗の伸張/
       戦前・戦後の寺院と僧侶

あとがき/参考文献/索引

*著者紹介*
知名 定寛(ちな ていかん)
1951年沖縄県具志川市(現うるま市)出身。
龍谷大学大学院文学研究科博士課程国史学専攻単位取得による依願退学。
現在、神戸女子大学文学部教授。
以下、著書
『沖縄宗教史の研究』(1994年、榕樹社)
『琉球仏教史の研究』(2008年、榕樹書林)  

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2020年03月26日

本日発売!! 琉球弧叢書34 琉球王国尚家文書「火花方日記」の研究


 麻生伸一、茂木仁史編
 琉球国には、花火があった。中国から琉球王の代替わりに訪れる冊封使の宴で、琉球舞踊や組踊とともに首里城の御庭で行われた花火である。だが、どのような花火だったかは、ほとんど知られていない。
 国宝・尚家文書のうち、大清同治5年丙寅『火花方日記』は、1866年の尚泰王の冊封に関わる花火の文書記録である。このたび、修復作業が済み、ついに彩色・肉筆画の挿絵が掲載される貴重な文書が姿を現した。それは、琉球国とともに消滅してしまった琉球の花火の精密な絵図であり、同時代の中国や日本など、世界の何処にもない、美しい「からくり物」花火だったのである。
 同日記から、火花仕手(責任者)の三人の士(サムレ-)たちの奮闘ぶりが読み取れる。任命の内示を受け、「お調べ」と称する高位・高官も立ち会う試験が繰り返され、自身のみならず家の名誉を賭けて花火に打ち込む。冊封使一行が渡来してからは、王府の緊張感も高まる中、「仲秋宴」本番を迎える。
 2019年の「組踊上演300周年」により、琉球国の冊封使を歓待した壮大なおもてなしへの関心が高まっている。この機を捉えて、本書を出版いたします。

〈目次〉

カラーグラビア14頁
「火花方日記」の「華」ともいうべき美しい彩色図版の全てを収録

研究篇
尚家文書の来歴と現状 外間 政明
琉球史における冊封関係の諸相 豊見山 和行
冊封諸宴のなかの花火職人 麻生 伸一
「火花方日記」にみる琉球の花火 茂木 仁史

現代語訳
文書全文を現代語に訳した上で、詳細な訳注を附す

「火花方日記」影印・翻刻編
全文の影印とその翻刻

   A5、上製、270頁
   定価(本体3,600円+税)

*編者及び執筆者紹介*

茂木 仁史(もぎ ひとし)・・・国立劇場おきなわ調査養成課課長
1957年生まれ 現在、沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学博士課程在学中
新書『入門日本の太鼓』平凡社、2003年
(共著)『沖縄県立芸術大学紀要25号』2017年
『沖縄芸能と科学』沖縄県立芸術大学、2020年

麻生 伸一(あそう しんいち)・・・沖縄県立芸術大学全学教育センター准教授
1981年生まれ 琉球大学大学院人文社会学研究科修了
『琉球史科学の船出―いま、歴史情報の海へ―』勉誠出版、2017年
『沖縄文化 123号』沖縄文化協会、2019年
『歴史地理教育』歴史教育者協議会、2019年

豊見山 和行(とみやま かずゆき)・・・琉球大学 人文社会学部教授
1956年生まれ 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了
『琉球史科学の船出―いま、歴史情報の海へ―』勉誠出版、2017年
『琉大史学 第20号』琉球大学、2018年
『島嶼地域科学という挑戦』ボーダーインク、2019年

外間 政明(ほかま まさあき)・・・那覇市歴史博物館主幹(学芸員)
1967年生まれ 鹿児島大学大学院修士課程修了
『尚家関係資料総合調査報告書Ⅰ 古文書編』那覇市、2003年
『沖縄の土木遺産』沖縄建設弘済会、2005年(共著)
『琉球船と首里・那覇を描いた絵画史料研究』思文閣出版、2019年(共著)

小野 まさ子(おの まさこ)・・・沖縄県教育庁文化財課史料編集班指導主事
1961年生まれ 琉球大学法文学部史学科史学専攻卒業
『琉球漆器―歴史と技術・技法』琉球漆器事業協同組合、1991年
『琉球・沖縄史の世界』吉川弘文館、2003年
『沖縄のモノづくりの伝統と創造 戦前期における工芸近代化の試み』 
東京文化財研究所、2006年

垣花 久美子(かきはな くみこ)・・・琉球沖縄歴史学会会員
1947年生まれ 琉球大学農学部農学科卒業
『台湾大学典蔵 琉球関係史料集成』全5巻(共著:翻刻・日本語訳)  

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2020年02月01日

本日発売!! 大城冝武著 絵解き「琉球処分」と東アジアの政治危機 琉球弧叢書33


 大城冝武著
 1879年(明治12年)、明治政府は熊本鎮台の兵とともに処分官松田道之を送り込み、首里城を占拠し、首里王府を廃し、琉球を日本の版図に強制的に組み込む、いわゆる「琉球処分」を断行した。以降、今日に至るまで琉球・沖縄は日本政府による新植民地主義的支配のもとにあり、軍事基地との共存を強制され、人々の不満と不安が渦巻いている。
 本書は「琉球処分」に前後する時期、当時の雑誌等に掲載されたポンチ絵・漫画・戯画にあらわれた琉球・沖縄を絵解きし、当時の東アジアの政治危機、―すなわち欧米列強の対アジア侵略の脅威の下で軍事化によって対抗しようとする日本、近代化に対応出来ない清、翻弄される琉球、虎視眈々と侵略の機会を狙う西欧の関係性の内実をえぐり出そうとするものである。
 従来とは異なった視点からの「琉球処分」から、私達が学ぶものは少なくない。

〈目次〉

第一章 沖縄マンガ史

第二章 「琉球処分」のイメージ
      第一節 「琉球処分」のイメージ
      第二節 琉球分島改約事案と伊犁事件

第三章 明治初期における日本人の「琉球」観

第四章 「台湾処分」

第五章 中国・日本・琉球

第六章 東学農民戦争期の日・朝・清

第七章 「琉球処分」前後の東アジア情勢

第八章 「薩摩襲来」と「日本屈属」のメタ・ヒストリー

追録一 虚構の「琉球藩」
追録二 沖縄マンガの展開

   A5判、上製、218頁
   定価(本体3,600円+税)

*著者紹介*
大城 冝武(おおしろ よしたけ)
1946年、沖縄に生まれる。
1970年 琉球大学教育学部教育学科卒業。
2012年 沖縄キリスト教学院大学定年退職。
2013年 沖縄キリスト教学院大学名誉教授。
1995年 博士(医学)

主な著書
『マンガの文化記号論』(弘文堂、1987年)
『環境のモデルノロジー』(北大路書房、2006年)
『高齢期不安の認知の性差・年齢差・地域差に関する横断的研究』
(民族衛生第61巻第2号、1997年)
  

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2019年09月09日

本日発売!! 琉球弧叢書32 八重山離島の葬儀


 古谷野洋子著
 過疎と高齢化が進み、島の生活が大きく変化していくなかで、八重山離島=波照間島・与那国島・竹富島・西表島の葬儀の実際を長期に渡って調査し、島の人々がこの変化の中でどの様に「死」と向き合いまた、外部からの変化の強制に対してどの様に対応してきたのかを明らかにし、今、現実に直面している課題を提示する。
 又、沖縄戦末期のいわゆる戦争マラリアによる惨事とその後の処理の聞き書きは、離島の戦争の悲劇を改めて記録するものとなっている。
 美しい海と青い空の島々に住む人々の喜びと苦しみを「葬儀」という場を通して分かち合うことが出来れば、幸いである。

〈目次〉

第一部 死者を送る人
   第一章 波照間島のサイシ(念仏者)、その受容と葬儀の変化
   第二章 与那国島の霊的職能者ムヌチ
   第三章 仏教による葬儀の簡略化とシマの死生観―竹富島喜宝院の院主の事例から―

第二部 死者を送るモノ
   第一章 沖縄の葬送における経巾の習俗―八重山・宮古における事例を中心に―
   第二章 葬儀の作り物とその考察―与那国島の葬儀の事例から―
   第三章 「洗骨時の焼骨」とその変化―モノ(葬具と墓)とのかかわりから―

第三部 葬儀の外部化における「自葬」の伝統
   第一章 帰島後の葬儀にみる死生観の変化―波照間島の事例から―
   第二章 簡易火葬場の設置と利用の変遷―西表島祖納の真山火葬場の事例から―
   第三章 葬儀に際して肉を使用する習俗の変化

補稿 波照間島、戦争マラリア死者の葬り方

   A5判、上製、322頁
   定価(本体4,800円+税)

*著者紹介*
古谷野 洋子(こやの ようこ)
1951年生まれ。
神奈川大学歴史民俗資料学研究科博士後期課程修了
歴史民俗資科学博士
神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員
法政大学沖縄研究所国内研究員
  

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2018年06月25日

本日発売!! 琉球弧叢書31 八重山・祭りの源流―シチとプール・キツガン


 大城公男著
 八重山は芸能の島だ、とよく言われる。この芸能の多彩さを支えているのが、シチ・プール・キツガン等に代表される祭りである。しかし、この一連の祭りの相関関係、あるいは歴史的な流れ等は必ずしも明解ではない。
 著者は文献調査はもとより、長期のフィールド・ワーク、関係者からの聞き取り等々を通して、八重山の祭りの源流が何であるのかを追い求めてきた。
 八重山での稲作の伝来と豊作への願いを背景に祭りが形成され、それが集落の変遷や社会構造の変化に伴って複雑に分岐し、あるいは統合され今日ある形となってきたことを多面的に掘り下げた本書は、八重山の民俗祭祀の研究の豊かな拡がりを示すものである。

〈目次〉(抄)

第一部 シチと祖霊

第一章 祭りの発生と設定
   一 イネとアワの古代文化 
   二 イネの伝来と祭り  
   三 シュビニガイとシチ 

第二章 仏教の伝来とシチ
   一 仏教の伝来
   二 姿を現した神  
   三 家々のシチ
   四 消えたシチ
 
第三章 今に伝わるシチ(一)―川平村
   一 村の概況
   二 御嶽と由来
   三 祭りの実際
   四 祭りの性格

第四章 今に伝わるシチ(二)―祖納村
   一 村の概況
   二 祭りの実際
   三 祭りの性格
   四 フダツミの正体
   五 祭りの変容

第二部 シチとプール

第一章 再生予祝祭オンプール―一族の祭りオンプール
   事例(一) 石垣市石垣村
   事例(二) 祖納村
 
第二章 新生予祝祭ムラプール
   一 自治行政から生まれたムラプール
   二 豊穣と降雨祈願のムラプール―シチを行わない村
   三 ムラプールの伝播と変容―他村への波及
   四 変形ムラプール―シチを行う祖納村

第三部 大本はシチ―古見村のプール
   一 御嶽と村―その変遷
   二 祭りの概況
   三 遠来神の正体と祭りの性格

第四部 キツガンの創設と性格
   一 合理的な発想で生まれた祭り
   二 祭りの概況
   三 祝祭の定番と祭りの性格

おわりに

   A5判、上製、350頁(カラーグラビア4頁)
   定価(本体5,800円+税)

*著者紹介*
大城 公男(おおしろ きみお)
1937年 八重山鳩間島に生まれる。
1961年 琉球大学教育学部卒業。
1998年 沖縄県立首里高等学校長退職。
2001年 東北大学大学院前期博士課程入学。
2003年 東北大学大学院修了(宗教民俗学)
著書:『八重山鳩間島民俗誌』(2011年、榕樹書林)
―2012年度日本地名研究所風土文化賞受賞。
  

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2017年03月31日

本日発売!! 琉球弧叢書30 世界史からみた「琉球処分」



 ティネッロ・マルコ著(法政大学 沖縄文化研究所)
 1879(明治12)年の「琉球処分」は琉球が独立した王国から、帝国へ浮上しようとする日本に呑み込まれ、その独立した政治的位置を失った歴史的事件として琉球史に刻まれている。
 本書は「琉球処分」へと至る道筋を江戸立ち(江戸上り)をめぐる琉球王府と薩摩藩、幕府の交渉とその変遷から、あるいは又、琉球と米仏蘭の修好条約と締結に至る交渉の中にその予兆を見出し、現実の「琉球処分」(琉球併合)の中で何故にそれらの条約が日本の動きに制約を与える事が出来なかったのかを、西欧列強の対アジア戦略との関連性の中に探り出す。列強は、つまる所、日本による事実上の琉球併合を黙認し、日本の帝国主義化を容認したのだといえる。
 西欧に残る史料をも活用し、琉球・日本・薩摩・西欧の緊張関係を細かにえぐり出し、「琉球処分」をめぐる議論に新しい視点を提起した注目の書である。
 尚、10頁のカラーグラビアでは米仏蘭との修好条約原本の全文・他を収載し、読者の本文理解への一助とした。

〈目次〉

第一部 西洋列強に対する琉球・薩摩藩・幕府の対応―「条約締結」を中心に
   第一章 琉球使節をめぐる琉・薩・幕関係
   第二章 西洋列強の東アジア進出に対する琉球の対応
   第三章 琉球に対する幕府の関心の深まり

第二部 「琉球使節の解体」からみる幕末期日本外交の変容―近世から近代
   第一章 1858年の琉球使節の延期理由と琉球側の認識
   第二章 1860年の琉球使節の延期をめぐる薩摩藩の戦略
   第三章 琉球使節の江戸参府から見る幕末期日本外交の変化

第三部 西洋列強の視点からみた「琉球処分」
   第一章 日本・英国・米国・仏国の外交文書から見る1872年の琉球併合
         ―琉米修好条約を中心に
   第二章 1878年の東京滞在琉球人による各国公使への請願と米・仏公使の対応

終章   世界史から見た「琉球処分」―西洋列強が果たした役割の歴史的な意義

   A5判、上製、360頁(カラーグラビア10頁)
   定価(本体5,800円+税)

*著者紹介*
Marco Tinello(ティネッロ・マルコ)
1977年イタリア生まれ。
2004年、国費留学生として来日、法政大学大学院・早稲田大学大学院で学ぶ。
2014年ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学博士号取得。
現在、法政大学HIF招聘研究員として、沖縄文化研究所に所属。
2015年第1回ヨーゼフ・クライナー博士記念法政大学国際日本学賞、
2016年に沖縄文化協会賞比嘉春潮賞受賞。
  

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2016年08月10日

本日発売!! 琉球弧叢書29 サンゴ礁に生きる海人(ウミンチュ) 琉球の海の生態民族学



 秋道智彌(地球環境学研究所名誉教授)著
 著者が琉球の海に通いはじめてから30年余、蓄積されてきた論考の全てに新たに手を入れ、最新の情報をもとに琉球の海に関わる民族誌を構築した大著です。
 サンゴ礁域の生態系の中で琉球の海がどの様な特色をもっているのか、そしてそこに住む人々と海との関わりはいかなるものなのか、魚やタコ・ナマコなどの名前、漁場の地名などが持つ意味は何か、経済活動と海の現実がどの様に関わっているのか、等々を、豊富な実例や図版、図表等を駆使して浮かび上がらせていきます。
 海の自然の中で人間が生きていくことの意味を、沖縄の海人(ウミンチュ)の実像を通して鋭く問うた画期的論文集です。

〈目次〉(抄)

グラビアⅠ
はじめに

グラビアⅡ(第一章、第二章、第三章)

第一章 琉球の海と島嶼世界
      琉球の海と海洋生態系/島嶼世界の比較生態/島嶼世界の交易論
第二章 海の民俗知と言語的世界
      魚の生態と民俗知/魚名の世界を探る/海の地名を解く
第三章 琉球の漁撈(ぎょろう)文化
      黒潮文化と海人/漁撈技術の展開/
      黒潮の漁撈―トビウオとカツオ/サンゴ礁の漁撈―アイゴとタカサゴ

グラビアⅢ(第四章、第五章)

第四章 琉球の海となわばり
      漁業権と海人/移住と南方出漁/漁場選択と紛争/
      なわばりの海―糸満のアンブシ/サンゴの占有―八重山のジャコトエー
第五章 海の経済と食文化
      ワタクサーの世界/海の食文化

グラビアⅣ(第六章、第七章)

第六章 海の境界と生態・民俗
      ピシと魚垣/ヒルギと干潟
第七章 コモンズの海の未来
      サンゴ礁における違法漁業と規制/コモンズの海/
      海洋観光と食の戦略/琉球の海の未来

おわりに 
参考文献一覧 
索引
   
   A5判、上製、376頁、カラーグラビア48頁
   定価(本体6,400円+税)

*著者紹介*
秋道 智彌(あきみち ともや)
1946年、京都市生まれ。
総合地球環境学研究所名誉教授、山梨県立富士山世界遺産センター所長。
生態人類学・民族生態学専攻。理学博士(東京大学)。
京都大学理学部動物学科卒業、東京大学大学院人類学博士課程単位修得。
国立民族学博物館民族文化研究部長、総合地球環境学研究所教授、
同副所長・研究推進戦略センター長を経て現職。
著書に『越境するコモンズ』(臨川書店、2016年)他多数
  

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2012年09月07日

琉球弧叢書28 沖縄社会とその宗教世界


 
 -外来宗教・スピリチュアリティ・地域振興-
 
 吉野航一著 
 沖縄社会に外部から持ちこまれた宗教は、多くの場合「沖縄らしからぬ」ものとして研究対象として捉えられることが少なかったといえる。本書はその様な現状に対して「沖縄の宗教世界」のもう一つの側面を明らかにし、これまでの認識を捉え直そうという試みである。そしてこれは沖縄の急速な都市化・経済発展の中での「沖縄らしさ」とは何かを明らかにすることに繋がっていくものである。
 本書では外来宗教がどの様な形で沖縄社会の中に入りこみ、土着化し、定着したのかを事例をもって明らかにすると共に、沖縄の社会変動、米軍基地、移民などとの関連も含めて考察し、更に近年のEMや聖域の観光化との関連にまで分析の枠を拡げている。
 本書を通して沖縄の「今」を考える新しい視角を得ることができるのではないだろうか。

〈目次(抄)〉

第一章 もう一つの「沖縄の宗教世界」
第二章 沖縄における外来宗教の展開
第三章 分析視角と調査方法-現代社会における宗教と信者への視点-
第四章 外来宗教の土着化と信者の宗教実践-浄土真宗・新宗教・キリスト教を事例に-
第五章 現代沖縄における浄土真宗の展開-真宗大谷派真教寺と真宗光明団を事例に-
第六章 沖縄社会にある「キリスト教」-沖縄バプテスト連盟を事例に-
第七章 沖縄県系移民と沖縄社会-カトリックと創価学会の信者を事例に-
第八章 沖縄における「EM(有用微生物群)」の拡がり-公的領域における「EM」を事例に-
第九章 歴史遺産の観光資源化と観光からの離脱-南城市の地域振興策を事例に-
第十章 総括-沖縄の宗教世界の現在-

   A5、上製、376頁
   定価(本体6,000円+税)  

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2012年07月18日

琉球弧叢書27 歌三絃往来―三絃音楽の伝播と上方芸能の形成



 小島瓔禮(ヨシユキ)著 
 中国の三弦が、琉球に伝来し定着したと思われるのが14世紀だが、琉球から更に北上し、大和へと伝えられたのは16世紀といわれている。以来三絃は「三味線」として急速に日本全国に流布を拡げ、近世の町方を中心とした大衆芸能のメイン楽器とまでなるに至った。
 しかし三絃音楽がどの様な経緯をたどって琉球に伝来し、本土へと渡っていったのかは残された史料も少なく、よくわかっていないのが現状である。
 本書は、様々な文字資料、あるいは古い伝統芸能、様々な伝承等を整理し、この謎に迫り、中国-琉球-大和へとつらなる歌三絃の伝播の道筋を明らかにする。本土で広く普及した小唄や長唄の源流となった琉球の歌三絃への限りない賛歌の書である。
   
〈目次(抄)〉

第一部 歌三絃の成立
  一、歌三絃の思想
  二、礼楽の展開
  三、三絃の琉球方言
  四、座楽そして三絃
  五、上方の三絃由緒書き
  六、三味線組歌まで
  七、二つの歌三絃の芸道

第二部 琉歌往来
  一、三味線伝来と薩摩
  二、中陵漫録の琉歌
  三、薩摩琉歌の展開
  四、琉歌と組歌との関係
  五、御冠船踊と組歌
  六、琉球組の形成
  七、組歌成立の琉歌的基盤

第三部 琉歌史および補説
  初期三味線史
  一、和三味線の起源古伝
  二、遊芸人と和三味線と
  三、琉球びとの三味線
  四、三味線の琉球渡来
  五、和三味線の発生

  琉歌と三味線組歌
  一、仮名草子の三味線小歌
  二、三味線組歌の琉球組
  三、柳節と初期三味線小歌
  四、琉歌形式の組歌
  五、天川節と組歌秘曲

  琉球びとの歌三味線
  一、オモロと琉歌の発生
  二、文芸復興期の琉歌
  三、琉歌の地理領域
  四、漂流民の琉歌
  五、薩摩での琉歌聞書

  琉歌と薩摩地方の民謡
  一、屋久島と琉歌
  二、船祝いの嘉例吉
  三、琉球人節
  四、甑島の御縁節
  五、薩摩の板三味線

   A5、上製、226頁
   定価(本体3,800円+税)

  

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2011年10月28日

琉球弧叢書26 琉球王国史の探求



 高良倉吉著 
 琉球史をめぐる様々な議論は、近年益々多様化し、地理的時間的空間を拡大し、深化してきた。琉球王国史をその内側でのみ語ることはもはや許されていないし、そういった新しい研究視点を積極的に導入し、復帰後の琉球史研究を先導してきた著者が、これまでの三点の研究領域の成果をまとめたのが本書である。
 第一には著者が深く関わった首里城復元に関する研究、第二にライフワークである辞令書の研究、第三に琉球王国の内部構造の実態の探求であり、本書ではそれらの個々の研究を通して著者自身の歴史への立脚点が明らかにされていく。
 歴史家高良倉吉によれば、本書で語られているのは東アジア海域世界のなかの琉球王国という視座から前近代史を素材とする国際関係論や多地域間ネットワーク論、あるいは近代国民国家の呪縛を相対化したいとの思念に立つ一種の歴史ダイナミズム論のテーブル上に琉球王国という態様を載せて論じた複雑系としての琉球史像なのである。

〈目次(抄)〉
 
第1部 古琉球を考える

◆1 グスク論を検討するための若干の前提
◆2 琉球王国成立期の首里城に関する覚書
◆3 奄美喜界島の古琉球辞令書
◆4 古琉球期の奄美における給田の移動
◆5 奄美古志辞令書の分析
◆6 今帰仁間切に関する辞令書
◆7 今帰仁掟および北谷掟宛の古琉球辞令書
◆8 「羽地仕置」に関する若干の断章

第2部 近世琉球を考える

◆9 『羽地仕置』に見る首里城の覚書
◆10 首里城正殿の大庫理御差床高欄の復元をめぐる問題点
◆11 首里城正殿の大龍柱の向きについての覚書
◆12 夫地頭制と銘苅大屋子の特質
◆13 伊是名玉御殿西室の被葬者の検討
◆14 多良間島に見る近世琉球の地船海運の実態
◆15 近世八重山の唐通事に関する事例
◆16 近世末近代初頭の琉球における模合請取証文

   A5、上製、296頁
   定価(本体4,800円+税)  

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2011年09月27日

琉球弧叢書25 八重山鳩間島民俗誌



 大城公男著 
 鳩間島の自然と歴史、そしてそこに生きる人々の生業、祭祀、年中行事等を詳細にまとめあげた島嶼民俗誌の新しい成果。

〈目次(抄)〉

第一章 島の概況と暮らし
  位置・地形/村の構図
  家屋の構造/自治組織 他

第二章 村の移動・変遷
  中森の村/記憶で蘇る村
  新生鳩間村/村の再建 他

第三章 人の一生
  結婚/マリドウシヌヨイ
  葬制/墓制

第四章 祭祀の形態と組織
  御殿の由来と祭神
  神役とその継承
  祭祀の形態

第五章 村の年中行事
  年中行事のサイクル
  行事の実際/祭りの性格

第六章 家の年中行事
  家で祀る神/行事の実際
  その他の行事

付章一、ことわざ
付章二、鳩間島研究略史

   446頁 定価(本体6,400円+税)  

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2011年09月27日

琉球弧叢書24 訳注 中山世鑑



 首里王府編・諸見友重訳注 
 1650(尚質3)年、後の摂政羽地朝秀によって編纂された初の琉球王国史。初の全訳注。
   
〈目次(略)〉

中山世鑑序
中山王舜天以来世纉図
尚円以来世系図
中山王世継総論

巻1
琉球開闢之事
舜天王御即位
舜馬順熙王御即位
義本王御即位

巻2
英祖王御即位
大成王御即位
英慈王御即位
玉城王御即位
西威王御即位
察度王御即位
武寧王御即位

巻3
尚巴志王御即位
尚忠王御即位
尚思達王御即位
尚金福王御即位
尚泰久王御即位
尚徳世高王御即位

巻4
尚円王御即位
尚宣王御即位

巻5
尚清王御即位

   224頁 定価(本体3,800円+税)  

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2011年05月18日

琉球弧叢書23 博物学と書物の東アジア-薩摩・琉球と海域交流

 
 
 高津 孝著 
 東アジア海域という広がりの中での薩摩・琉球の博物学と出版文化を論じ、新しい歴史像を提起する。
  
〈目次(抄)〉

第一部 博物学の海域交流―医学、薬学、生物学
  一 『琉球産物志』から『質問本草』へ
  二 中国伝統医学と琉球
    ―『琉球百問』と渡嘉敷通寬
  三 近世琉球の医学文献―久米島文書に基づく
  四 薩摩の鳥学―大名趣味と珍鳥の流通
  五 薩摩の鳥学・続―博物学ネットワーク
  六 島津禽譜

第二部 書物と文化の海域交流
  一 琉球の出版文化―海を越えた出版文化圏
  二 近世琉球の書物文化
    ―八重山博物館所蔵漢籍
  三 琉球板『論語集註』
  四 薩摩石摺考
  五 海を渡る贋作たち
    ―琉球ルートを伝わったもの
  六 琉球、薩摩の書道交流
  七 琉球と茶の湯

第三部 東アジア文化圏と薩摩
  一 薩摩の漢学
  二 長崎の清人と薩摩の漢詩集
  三 瀟湘八景から鹿児島八景まで
  四 地誌の学と名所図会―薩摩の名所図会

初出一覧
あとがき
索引

   296頁 定価(本体4,800円+税)

  

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2011年05月12日

琉球弧叢書22 沖縄の親族・信仰・祭祀-社会人類学の視座から


 
 比嘉政夫著 
 沖縄の親族構造の特質を綿密なフィールドワークと全アジア的視点からとらえた遺稿論文集。

〈目次〉

比嘉政夫先生の研究をふり返る-序にかえて-・・・赤嶺政信

Ⅰ 沖縄の女性の地位と役割-公開講演-
 (1)開会にあたって
 (2)講演-沖縄の女性の地位と役割
 (3)質疑応答

Ⅱ 沖縄の家族と親族
 (1)浦添の社会組織-家族・親族
 (2)宜野湾市における家族と親族
 (3)久米島仲里村比屋定における家族と親族
 (4)奄美徳之島における糸満漁民の現地住民との社会関係
 (5)門中形成の土着的基礎と外来的要素
 (6)環東シナ海域の社会組織の比較民俗論-韓国と沖縄の「門中」の構造と生成をめぐって-

Ⅲ 沖縄の信仰と祭祀
 (1)シマの世界
 (2)祖先と祖先神-沖縄の祖先崇拝論をめざして-
 (3)沖縄の村落と神がみ-シヌグ・ウンジャミの祭祀構造-
 (4)爬龍船考-沖縄民俗学の視点から-
 (5)沖縄の古層文化と中国-来訪神儀礼をめぐって-

初出一覧
比嘉政夫年譜・・・粟国恭子
あとがき・・・武石和実
索引
   
   304頁 定価(本体4,800円+税)  

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2011年05月12日

琉球弧叢書21 奄美沖縄の火葬と葬墓制-変容と持続


 
 加藤正春著 
 近代以降に外部から持ち込まれた火葬という葬法が、旧来の伝統的葬法の中にとりいれられていく過程を明らかにし、奄美・沖縄の葬墓制の多様性とその変容過程を検討する。
   
〈目次〉

はしがき

第一部 火葬の導入と葬送儀礼の外部化
  第一章 奄美沖縄における火葬の導入と普及過程
  第二章 焼骨と火葬-奄美沖縄における火葬葬法の
  受容と複葬体系-
  第三章 葬制の変貌-沖縄における葬儀の変化と規範の変動-
  第四章 火葬と沖縄の葬儀-火葬の導入による葬儀の再編成とその外部化-

第二部 沖縄の葬墓制
  第五章 沖縄の葬墓制と骨の位置づけ
  第六章 北部沖縄の墓制とその変遷-単葬墓制と木造家型墓-
  第七章 北部沖縄の葬墓制をめぐる若干の問題
  第八章 沖縄の一人用一次葬墓について-土井卓治先生の沖縄調査との関連で-
  附論 共同墓の論理-宮古諸島の改葬墓と本土他府県の埋め墓と-
 
あとがき
初出一覧
参考文献
索引

   325頁 定価(本体5,600円+税)  

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