2018年03月15日
本日発売!! 沖縄大学地域共創叢書2 奥むらの戦世の記録―ヤンバルの沖縄戦

宮城能彦編(沖縄大学教授・人文学部長)
国頭郡奥は沖縄本島北端にあって、かつてはヤンバル最深部の集落として民俗学的関心の的であり、いわゆる共同店を中心に集落が運営されている「共産村落」として知られていた集落である。
本書は集落民の強い結束と互助精神に助けられ過酷な沖縄戦の日々をいかに苦しみに耐え、それを乗り越え、たくましく生き抜いたのかを、直接経験者へのインタビュー・手記・資料等で構成し、奥集落の戦世の実像を浮かび上がらせた慟哭の記録である。
10・10空襲といえば、沖縄戦の事実上の始まりとして人々の記憶に刻まれているが、多くは那覇とその周辺のことと受け止められてきた。しかし本書は、10・10空襲がヤンバル最深部の奥を襲い、その大半を焼き尽し、集落民が山中に逃れざるを得なかったことを明らかにする。それからの苦難を、集落の人々は共同店運営にあらわれた互助互恵の力で乗り越え、戦後の復興にまで至るのである。
本書はそうした人々の血と涙と汗の物語であり、事実上の「奥字誌・沖縄戦篇」!!といえよう。
〈目次〉(抄)
一 奥むらの沖縄戦―10・10空襲から帰郷まで
二 沖縄戦・北部戦線と奥集落
三 インタビュー記録―奥出身者の太平洋戦争
八幡製鉄所からニューギニア戦線へ/伊江島徴用/伊丹鉄工所徴用
糸満から帰り奥の警防団へ/祖母が奥で最初の捕虜に
母親の避難小屋での出産とハブ咬傷/長崎海軍大村航空隊飛行機工場
護郷隊で恩納岳へ/伊丹防空特殊航空会社で旋盤工
神戸製鋼と北支二七連隊/大阪伊丹の工場で旋盤工として/農兵隊として
女ひとりで祖母と子ども二人の食糧確保/サイパンで従軍、戦後奥で発電所を建設
小学3年生の戦争体験と戦後の生活/奥の救世主:小山松美さんのこと
武部隊として台湾へ/護郷隊(切込み隊)から奥への帰還
郵便局員から警防団へ/ジャワ島ヘキニーネ(マラリア特効薬)栽培の調査へ
四 体験手記―奥の戦争
母の戦争体験/少年期以降の私の体験談/母の戦争体験/監視所のあゆみ
五 私の戦争体験記・・・上原信夫
六 関連資料
第二次世界大戦末期の国頭村奥における旧日本軍の薪炭生産・・・斉藤和彦
A5判、並製、344頁
定価(本体2,500円+税)
*著者紹介*
宮城 能彦(みやぎ よしひこ)
沖縄大学人文学部教授(地域社会学)
1960年那覇市壺屋生まれ。浦添・旧羽地村育ち。
【主な著作】
『村落社会研究 第21号 共同売店から見えてくる沖縄村落の現在』(2004年)
『日本人のアイデンティティ教育-沖縄の本土復帰が意味するもの-』(2007年)
『共同売店-ふるさとを守る沖縄の知恵』(2009年)
『沖縄道-沖縄問題の本質を考えるために-』(2012年)
『大学で何が学べるか-大学進学の意味を考える-』(2015年)
『共同売店の可能性-買い物弱や・若者の就業・コミュニティ再生センターとしての共同売店-』(2016年)
『社会学評論 第268号 沖縄村落社会の動向と課題-共同体像の形成と再考-」(2017年)
Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 16:13│Comments(0)
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