2022年04月22日
本日発売!! 平敷屋朝敏を聴く 西銘郁和評論集
西銘郁和著
琉球王国きっての名宰相と言われた蔡温は1734年、組踊『手水の縁』の作者として知られる平敷屋朝敏ら十数名を斬首刑にした。しかしその理由は今もって明らかになってはおらず琉球近世史最大の謎となっている。
平敷屋朝敏の処女作品『若草物語』が書かれたのは1719年。近松門左衛門を中心に展開されていた「遊女物」「心中物」浄瑠璃の世界に触発された物語であり、二度にわたる江戸上り体験から生まれたものである。作品の主人公は遊女「若草」と「津ノ国」(現大阪府の一部) の武士「小笹露之介」という身分違いの若い男女である。
朝敏の二作目は組踊『手水の縁』で、これは玉城朝薫が組踊を初演した翌年の1720年に書かれたもの。第一作が「津ノ国」(=大津) という国名から始まるのに対し、『手水の縁』の主人公は「玉津」と「山戸」という若い男女である。主人公名の設定に、いまだに印象深い江戸上りによる「大和」(=山戸) 体験が具体的に反映されている。
波乱に富んだ平敷屋朝敏の晩年を予感させる、残り三作品『萬歳』『貧家記』『苔の下』の成立については本書中にお確かめいただきたい。
A5判、上製、470頁
定価(本体4,500円+税)
〈目次〉(抄)
第一章 平敷屋朝敏 人と作品
(1) 若草物語
(2) 手水の縁
(3) 萬歳
(4) 貧家記
(5) 苔の下
(6) 作品総論及び朝敏年譜
第二章 平敷屋・友寄事件について
(1) 平敷屋・友寄事件を読む
(2) 事件を巡るいくつかのこと
第三章 玉城朝薫と田里朝直
(1) 玉城朝薫を読む
(2) 田里朝直を読む
第四章 琉球芸能を観る、聴く
(1) 琉球芸能小論
(2) 折々の出逢い
第五章 組踊「手水の縁」の作者
(1) 朝敏作者否定説への反論(新聞論争)
(2) 「手水の縁」作者論争(総括)
(附録) 平敷屋朝敏作品集
*著者略歴*
西銘 郁和(にしめ いくかず)
1952年沖縄・与那城村(現うるま市)字池味(宮城島=高離島)生まれ
琉球大学教育学部卒業
小詩集『星盗り』/『西銘郁和詩集』
小論集『田里朝直の遠望』/ 詩集『時の岸辺に』発行
琉球古典芸能コンクール三線最高賞
労働者文学賞詩部門佳作
野村流音楽協会三線師範
貧家記研究会副会長、詩誌「風塵」主宰
Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 11:00│Comments(0)
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