2024年07月29日

原田禹雄先生訃報のお知らせ

原田禹雄先生訃報のお知らせ



原田禹雄先生 追悼


当社の主要な出版物である『冊封琉球使録集成』の訳註者である原田禹雄(はらだのぶお)先生の訃報を受けました。4月28日、96歳で天寿を全うしたとの事です。謹んで哀悼の意を表します。

当社の出版活動は1991年の『空手道大観』から始まるが、その中核を担ったのは原田先生の訳注による『冊封琉球使録集成』(全11巻)であり、そこから派生した『琉球神道記』『質問本草』『琉球国旧記』『明代琉球資料集成』、そして先生の著作5冊を含む『琉球弧叢書』であった。

『冊封使録』は琉球中国関係史研究の基礎文献でありながらあまり活用されてこなかったが、先生の訳注本の刊行によって広く読まれ用いられるようになり、2016年の「東アジア出版文化賞」、2018年の「岩瀬弥助記念書物文化賞」の受賞は名こそあげられてはいないものの、実質としては『冊封琉球使録集成』の出版に対するものであった。

当社から刊行された原田先生の本は『冊封琉球使録集成』が11冊、『琉球弧叢書』が5冊、その他が7冊。全部で計23冊にのぼる。軽く読める内容の23冊ではない。難解故に誰も手をつけなかったものを現代語に訳し、詳細な註を加えた先生の本は、一般の市民の誰でもが冊封使録の世界に入っていけるようにしたという点で画期的なものであった。歴史研究者はもとより芸能史研究、食文化等ひろく活用されるようになった。学位論文でも冊封使録が取り上げられるようになり、琉球史研究の裾野を広げるのに大きく寄与したものと確信している。

 先生の仕事は今後に続く人々を励まし続けるだろう。私共も又、これまでの足跡を大切にし、先生の仕事を最大限に高めていく為に努力していく事を誓いたい。
 改めて先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

2024年7月29日
榕樹書林 武石和実


先日公開致しました追悼文において一番重要な原田先生の命日を誤って4月26と記しておりましたが、正しくは4月28日となります。
大変申し訳ございません。
改めて原田先生の御逝去に哀悼の意を示したいと思います。

2024年8月8日 記事訂正



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Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 14:45│Comments(0)お知らせ
 
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