2023年03月01日
只今発売中!! 琉球弧叢書№37 『首里城の舞台と踊衣裳』
茂木仁史・古波蔵ひろみ著/国立劇場おきなわ監修
本書は「御城舞台の研究」と「踊衣裳と結髪の研究」という二つの論文を収録している。いずれも、琉球国時代の組踊や琉球舞踊の姿を明らかにしようとする試みである。
「御城舞台」とは、琉球国王一世一代の「冊封」に際して首里城の御庭に作られた特設舞台のことである。一七一九年に初めて記録上に現われ、最後の琉球王・尚泰の冊封が行われた一八六六年まで、わずか五回しか姿を見せなかった幻の舞台である。その一五〇年ほどの間にも、芸能の変化に合わせて御城舞台も姿を変えるが、舞台と楽屋を橋掛りでつなぐという能舞台にも似た特殊な形は堅守された。この基本構造は琉球国の芸能の本質と通じ、変化した部分は琉球芸能の現在につながっている。
琉球芸能の「踊衣裳」といえば紅型衣裳に代表されるが、琉球国時代には異なる伝承があった。若衆の凛とした佇まいと色気を際立たせる「板締縮緬若衆衣裳」と、大人の女性の優美な気品を示す「琉縫薄衣裳」である。しかし、当時の衣裳はほとんど伝世されず、技術も廃れたことから幻の衣裳となっていた。本書ではこれまでの研究も踏まえつつ、琉球国の踊衣裳を具体的に示すよう目指したものである。また、結髪や髪飾りなどは近現代に変化したものもあるため、衣裳と一体になって装いを構成するものとして研究対象とした。
琉球国時代の芸能の実態については、明らかにされていないことも多い。今後の研究や公演に本書が寄与することを願うものである。(茂木仁史)
A5判、上製、296頁
定価(本体3,600円+税)
〈目次〉
Ⅰ 御城舞台の研究
はじめに
序章 芸能と舞台
第一部「御城舞台」の図像研究
第一章 一七一九年の御城舞台
第二章 一八三八年の御城舞台
第三章 一八六六年の御城舞台
第二部「御城舞台」の諸相
第四章 一八三八年の稽古と稽古場
第五章 躍が上演された場所
第六章 御膳進上と諸行事
第七章 舞台飾りと道具
第八章 観客と観客席
第九章 御城舞台の形状と寸法
おわりに
Ⅱ 踊衣裳と結髪の研究
はじめに
第一部踊衣裳の研究
第一章老人踊
第二章若衆踊
第三章女踊
第二部結髪の研究
第四章欹髻―老人・成人男子の髪型
第五章丸結の研究
第六章垂髪とかつら髪
おわりに
*著者紹介*
茂木仁史
沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学研究科(博士後期課程)修了、芸術学博士
国立劇場おきなわ調査養成課課長
沖縄県立芸術大学芸術文化研究所 共同研究員
古波蔵ひろみ
琉球大学大学院人文社会科学研究科(博士後期課程)修了、学術博士
沖縄県立芸術大学芸術文化研究所共同研究員
Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 18:36│Comments(0)
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