2020年03月26日
本日発売!! 琉球弧叢書34 琉球王国尚家文書「火花方日記」の研究
麻生伸一、茂木仁史編
琉球国には、花火があった。中国から琉球王の代替わりに訪れる冊封使の宴で、琉球舞踊や組踊とともに首里城の御庭で行われた花火である。だが、どのような花火だったかは、ほとんど知られていない。
国宝・尚家文書のうち、大清同治5年丙寅『火花方日記』は、1866年の尚泰王の冊封に関わる花火の文書記録である。このたび、修復作業が済み、ついに彩色・肉筆画の挿絵が掲載される貴重な文書が姿を現した。それは、琉球国とともに消滅してしまった琉球の花火の精密な絵図であり、同時代の中国や日本など、世界の何処にもない、美しい「からくり物」花火だったのである。
同日記から、火花仕手(責任者)の三人の士(サムレ-)たちの奮闘ぶりが読み取れる。任命の内示を受け、「お調べ」と称する高位・高官も立ち会う試験が繰り返され、自身のみならず家の名誉を賭けて花火に打ち込む。冊封使一行が渡来してからは、王府の緊張感も高まる中、「仲秋宴」本番を迎える。
2019年の「組踊上演300周年」により、琉球国の冊封使を歓待した壮大なおもてなしへの関心が高まっている。この機を捉えて、本書を出版いたします。
〈目次〉
カラーグラビア14頁
「火花方日記」の「華」ともいうべき美しい彩色図版の全てを収録
研究篇
尚家文書の来歴と現状 外間 政明
琉球史における冊封関係の諸相 豊見山 和行
冊封諸宴のなかの花火職人 麻生 伸一
「火花方日記」にみる琉球の花火 茂木 仁史
現代語訳
文書全文を現代語に訳した上で、詳細な訳注を附す
「火花方日記」影印・翻刻編
全文の影印とその翻刻
A5、上製、270頁
定価(本体3,600円+税)
*編者及び執筆者紹介*
茂木 仁史(もぎ ひとし)・・・国立劇場おきなわ調査養成課課長
1957年生まれ 現在、沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学博士課程在学中
新書『入門日本の太鼓』平凡社、2003年
(共著)『沖縄県立芸術大学紀要25号』2017年
『沖縄芸能と科学』沖縄県立芸術大学、2020年
麻生 伸一(あそう しんいち)・・・沖縄県立芸術大学全学教育センター准教授
1981年生まれ 琉球大学大学院人文社会学研究科修了
『琉球史科学の船出―いま、歴史情報の海へ―』勉誠出版、2017年
『沖縄文化 123号』沖縄文化協会、2019年
『歴史地理教育』歴史教育者協議会、2019年
豊見山 和行(とみやま かずゆき)・・・琉球大学 人文社会学部教授
1956年生まれ 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了
『琉球史科学の船出―いま、歴史情報の海へ―』勉誠出版、2017年
『琉大史学 第20号』琉球大学、2018年
『島嶼地域科学という挑戦』ボーダーインク、2019年
外間 政明(ほかま まさあき)・・・那覇市歴史博物館主幹(学芸員)
1967年生まれ 鹿児島大学大学院修士課程修了
『尚家関係資料総合調査報告書Ⅰ 古文書編』那覇市、2003年
『沖縄の土木遺産』沖縄建設弘済会、2005年(共著)
『琉球船と首里・那覇を描いた絵画史料研究』思文閣出版、2019年(共著)
小野 まさ子(おの まさこ)・・・沖縄県教育庁文化財課史料編集班指導主事
1961年生まれ 琉球大学法文学部史学科史学専攻卒業
『琉球漆器―歴史と技術・技法』琉球漆器事業協同組合、1991年
『琉球・沖縄史の世界』吉川弘文館、2003年
『沖縄のモノづくりの伝統と創造 戦前期における工芸近代化の試み』
東京文化財研究所、2006年
垣花 久美子(かきはな くみこ)・・・琉球沖縄歴史学会会員
1947年生まれ 琉球大学農学部農学科卒業
『台湾大学典蔵 琉球関係史料集成』全5巻(共著:翻刻・日本語訳)
Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 00:00│Comments(0)
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