2021年09月16日
本日発売!! がじゅまるブックス18 稲の旅と祭り―シチと種子取
大城公男著
八重山鳩間島に生を受けた著者は前著『八重山・祭りの源流』において、八重山の祭りの源流が稲の豊作祈願にあり稲の伝来を伝える祭りであったことを詳しく論証したが、本書はいわばその補遺編と申すべきもので、八重山の祭り特にその中心となるシチ祭りと種取祭が変容し、今ではその意味が失われてしまっていることをていねいに論証し、その起源に迫る。シチ祭りの変容の契機は仏教の伝来であった。仏教によって八重山の神々は後ろに引いていき、農作物の生育に依っていた暦も変わっていく。
著者が稲作の伝来を、日本への稲作の伝来とは別の流れにあることを踏耕、ヒコバエ、稲魂信仰から導き出し、沖縄の祭りが稲作伝来の記憶を伝えていることを明らかにしていく。
今ではすたれてしまった祭りの数々の真実の姿を浮かびあがらせるのである。
八重山の古層を探る一冊である。
A5、並製、114頁
定価(本体1,000円+税)
〈目次〉(抄)
第一部 黒潮の民と稲作
一 父祖たちの冒険
二 「海上の道」と稲作
三 「新・海上の道」と稲作
第二部 首里王府の八重山統治と稲作
一 群雄割拠とアカハチの乱
二 蔵元の開設
三 大阿母の設置
第三部 稲作と祭り(一)
一 シチの成立
二 祭りの性格
1 「己亥の日」
2 「年帰し、皆々年縄を引き」
3 「三日遊び申也」
三 シチの変質
1 仏教の伝来
2 シチと柴差
四 神々の運命と行方
1 浮遊する神々
2 カンフチを唱える神
3 里帰りする 神伊原間村
4 祖納カタギとシチ 西表祖納村
第四部 稲作と祭り(二)種子取(祭)
一 予祝歌「アマーオェーダー」(本島真和志村)
二 稲が種アヨーとアマーオェーダー
三 事例「種子取(祭)」―鳩間島
*著者紹介*
大城 公男(おおしろ きみお)著
1937年 八重山鳩間島に生る。
1961年 琉球大学卒業後教育界に進む。八重山農林、首里高校で校長
1996年 沖縄県立高等学校長協会会長。
2003年 東北大学大学院文学研究科前期人間科学(宗教民俗学)専攻博士課程修了。
2013年 瑞宝小緩章受章。
主な著書
『八重山鳩間島民俗誌』(2011年、榕樹書林)
『八重山・祭りの源流―シチとプール・キツガン』(2018年、榕樹書林)
Posted by 沖縄本といえば榕樹書林 at 17:36│Comments(0)
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