本日発売!! がじゅまるブックス7 沖縄のジュゴン―民族考古学からの視座

沖縄本といえば榕樹書林

2014年07月01日 16:40


 
 盛本 勲著
 ジュゴンが沖縄で生きていた!!と話題になったのはごく近年の事です。普天間基地の辺野古移転への抗議の輪が広がる中で辺野古周辺でジュゴンを発見したという報道がなされ、相次いで写真も撮られ、辺野古周辺の海が沖縄で唯一残されたジュゴンの生息域であることが明らかになったのです。
 本書はこのジュゴンが先史古代の頃から、時には身体を飾るものとして、あるいは又、宗教儀式や王府の接待での食材として、更には又税として等々と、考古学的発掘調査をもとにジュゴンが様々な形で沖縄の民族文化に関わっていることを明らかにしたものです。
 沖縄では考古学の発掘の中で海産物を用いた生活用具が少なくないことなど、本土とは異なる様相を呈していたことが明らかになってきています。このことを象徴する存在がジュゴンなのではないでしょうか。
 ジュゴンを通して先史・古代の沖縄の民族文化を探っていくことの第一歩がこの小さな本です。

目次(抄)

序章  ジュゴンの自然誌的状況の概観
        再発見の経過と現状
第1章 ジュゴン
        分布や生態など/骨格などの特徴/沖縄のジュゴンのルーツ
第2章 遺跡出土のジュゴン骨
        出土ジュゴン骨の研究略史/首里城跡出土のジュゴン骨/
        墓出土のジュゴン骨は何を物語るか
第3章 ジュゴン骨を利用した製品
        多種多様な骨製品/手首の甲を外して嵌めた骨輪/
        垂飾的機能・用途を有した札状製品/銅剣を模した剣状骨製品/
        鉄製の矢じりの代用だった骨鏃様製品
第4章 食料としてのジュゴン
        調理や食法の多様性/冊封使の饗応料理にも上がったジュゴン肉/
        遺跡出土のジュゴン骨を考える
第5章 ジュゴンの捕獲
        捕獲網の規模・形態・構造など/捕獲時期/
        捕獲場所と捕獲法など
第6章 奉納されたジュゴン
        パナリ島の奉納ジュゴン骨/イオマンテや縄文貝塚に通じる世界観
第7章 琉球列島におけるジュゴンの文化史的位置づけ
        琉球列島先史時代の経済基盤及び骨製品素材の解明に向けて
        琉球王府への献上品としてのジュゴン

   A5、107頁、並製
   定価(本体900円+税)

*著者紹介*
 盛本 勲(もりもと いさお)
 1955年、久米島に生る。沖縄国際大学卒業後、名古屋大学で研究を深め、
 1984年より沖縄県文化課・埋蔵文化センターで発掘調査に当たる。
 現在、沖縄県埋蔵文化センター調査班長。

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